介護業の会社破産のポイント
1 介護業の倒産は増加している
介護業は、人手不足が課題となっており、離職した人員の補充が難しいことが倒産の原因の一つになっているといわれています。
また、他業種からの参入も多く、利用者を集めるのに苦戦している事業所が多いと言われ、東京商工リサーチによると、2024年度の介護業界の倒産件数は過去最多になっています。
2 破産するタイミングの難しさ
介護業でも他の業種でも、会社が破産するときは、まず弁護士に相談して、いつ事業をやめて破産するかを決めます。
破産は、弁護士が必要な資料を整えて裁判所に申請しますが、申請のタイミングで弁護士から金融機関等の債権者に通知を出すのが通常です。
介護業は、事業をやめること利用者への影響が大きいので、タイミング選びが他業種以上に難しいといえます。
3 利用者の他の介護事業所への移籍
介護業では、訪問であれ施設であれ、利用者が存在します。
ある日突然介護が受けられなくなったり、施設から追い出されるようでは、命の危険があるケースもあります。
基本的に利用者に他の介護事業所を紹介して移っていただく目途をつける必要があります。
4 売掛金の回収まで時間がかかる
介護業の最も大きな報酬は、国民健康保険連合会からの介護報酬でしょう。
介護報酬は、計算して請求してから入金まで2か月はかかり、予定より早くもらうことも難しいという特徴があります。
このことは、破産申立てに必要な費用を準備したり、給料を払うタイミングを難しくします。
また、利用者個人負担分の請求は、支払いが滞りがちな人がいると、破産手続きが終わるまで時間がかかる要因になります。
5 従業員の給料の未払いが残りやすい
介護業は、小規模事業者でも最後まで複数の従業員が残っているケースが大半です。
会社破産の場合は、独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度の利用に必要な資料を集めておくことで、公費で給料の一部が補填されるケースが多いです。
6 弁護士にご相談ください
介護業の会社破産には、以上のような難しさがありますので、介護業の破産を数多く扱っている弁護士に相談されることをお勧めします。